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ドローンの実力を実感した出来事

ドローンがいかに威力を発揮するのか

我々が実際に経験した特殊な事例がありますので、皆さんにお伝えしようと思います。

プライバシー保護のため、日時や場所などは伏せて書きますね。

 

ある日、ドローン関係の知人から「ドローンで行方不明者の捜索をして欲しいという依頼が来たが、受けられるか?」という電話が来ました。

数か月前に家を出てから音信不通となっていたが、とあるダム湖のほとりで車が見つかり、警察と消防が出動、ヘリを飛ばして捜索を行ったが見つからず、事件性がないと判断し、その後の捜索活動を打ち切った、しかし親族は行方不明のままである事に納得できず、独自に捜索をお願いしたいというものでした。

 

我々は以前、福島県にドローンイベントの手伝いに行った際、現地でバス釣りのボートが転覆し行方不明になる事故があり、急遽ドローンで捜索活動に協力した経験があり、知人もそれを知っていたので、今回我々に声がかかったのですが、今回は既に失踪から数か月が経過しており、この時点では到底発見出来るとは思えませんでした。

 

その後、行方不明者の親族の方と直接やり取りする中で、当時の状況から事件性は無いと言われたのに、未だ安否不明な事に納得できず、どこかで生きているのか、自殺なのか、他殺の可能性はないのかなど、思い悩み、藁をもつかむ気持ちでご相談されたのだと解り、心配しているご親族の為にもドローンを使い見つけて差し上げる事で、安心してもらえればという気持ちが強くなりました。

 

その後、管轄する警察の担当課、ダム湖の管理者に経緯を説明・了承を得て、警察には万一発見した場合直ちに通報する事を約束し、とある曇りの日の朝、依頼人であるご親族数名の立ち合いの元で、ドローンによる捜索を行いました。

 

ドローンには雲の反射を気にせず水中を確認できるよう、レンズに偏光フィルターを装着、ご親族には外部モニターでリアルタイムで見られるようにし、飛行後に詳しく画像を確認できるように4K動画で収録、車が発見された場所の周辺を20m程の高度を保ちながら一筆書きに飛行しました。

 

風は弱く、波はほとんど無い状態で、失踪から数か月経過した湖は何事も無かったかのように静かです。
常にドローンを目視確認出来る場所に陣取り、レンズを真俯瞰にした状態で、機体をゆっくりと前進させていきます。

 

一度バッテリーを交換し、捜索開始から20分後、葦の生い茂る岸辺に、灰色のうつ伏せになった人型の何かが映り込んできました。
私は瞬時にそれが何なのか解りましたが、本当に人なのか、マネキンじゃないか?いや、人であってくれと気持ちが揺らぎました。
「確認します」と、そのままドローンを降下させ、3mほどの高さから「人」である事を確認しました。

 

リアルタイムでモニターを見ていた親族の方も、覚悟は出来ていたとは言え、抱き合い涙されていました。
私は「まだご本人とは限りませんからね」と、何とも頼り無い言葉をかけるしかありませんでした。

 

その後、直ちに警察を呼び、位置を伝えて回収作業を行いましたが、その場所は容易に立ち入る事が出来ないほど葦が生い茂り、船からの上陸でしか回収出来ない場所でした。
おそらく何度か水位が上下しているうちに、流されてここに漂着したのではと推測出来ました。
高度を下げてゆっくりホバリングしながら探せるドローン以外で見つけるのは、かなり難しいと思われる場所でした。

ご遺体は、後にDNA鑑定で行方不明となっていたご本人と解り、ご親族の希望通りご自宅へ帰る事が出来ました。

ご親族の方からは「頼んで良かったです」と感謝の言葉を頂き、複雑な気持ちでしたが、無事任務が遂行出来て安心しています。
その後、警察からの要請で捜索に関する映像資料はすべて廃棄しました。

 

今回ご紹介した行方不明者の捜索と発見は、通常の業務ではまず経験する事のない特殊な事案です。
無人航空機ドローンが社会に果たす役割は様々あると思いますが、こうして少しでも人の役に立てれば本望だと思います。

 

亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

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